英語資格・テスト点数の威を借りる

Rintaro

お断り: 今回書く内容は読まれる方によっては非常に不快な思いをするかもしれません。テストの点数こそ至高、資格がその人間のクオリティを決める、といった考えをお持ちの方はお読みにならないほうが良いでしょう。

 更に。同じようなお話をレッスンで直接させていただいた生徒さんが何名かいらっしゃいますが今回の記事はそういった方々を個人的に攻撃(口撃)するものでは全くありませんのでそちらの点もご注意ください。それではどうぞ。

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ずっと言おう言おう、書こう書こうと思っていたことです。ただ上のお断りで書いたようにこれによって少なからず気に食わないと思われる方が出てくることを懸念しずっと遠慮していました。ただよく考えたら僕はそもそも遠慮する人間でもないし「じゃあ書くか」ということで書かせていただきます。

テスト・資格至高主義についてです。どうも勘違いしている方が多いような気がしてならない。

  • TOEIC800点取れば自分は英語人として立派にやっていける。
  • 英検1級取得できなければ自分の英語は通じない。
  • ~くらいの点数だったら海外でも通じる。

といったことをレッスンでよく耳にします。悲しいことです。そもそもこういった検定試験とはそれに向けて準備するのが目的なのではなく今までに培ってきた英語・英会話力がどういったものなのかを客観的に判断してもらうのが狙いなのではないでしょうか?ただその肝心な英語・英会話力はひとまず置いておいて、まずはこれらの試験勉強優先!という方が多い気がしてなりません。本末転倒とはまさにこのことではないでしょうか。

実際「私はTOEICで900点持っています」と言われても僕、全くピンときません。僕はこう思います。

「そんなことはどうでもよいから僕と英会話をしましょうよ。その上でお持ちの点数があなたの英会話力に相応のものなのか判断させていただきます。」

と(そもそもTOEICは英会話力の検定テストではない、という突っ込みが出来るわけですが・・・)。

 例えば皆さん、頑張ってTOEICで900点取れたので海外出張に初めて行かせてもらうことになりました。高揚感を何とか抑えてホテルのロビーでお客様との対面です。そこで皆さん開口一番

わたくしめはTOEIC900点を持っております!

とお客様に伝えるのでしょうか?お客様は皆さんと商談をしにいらっしゃったのです。テスト自慢をしにきたのではありません。肩透かしを食らった皆さん、結局その後カチコチになってしまい何も話せず商談はなし、どの顔下げて日本に戻れば・・・みたいなことになってしまうのでは?

以前勤めていたオンラインの英会話学校で上司に「Rintaroさん、英検1級何とか取ってくれないかな。これがあると箔が付くんだよ。」とあまりにもしつこく言われしぶしぶ了承、受験した過去があります。全く勉強せずテスト会場で初めてどんな問題なのかを知りました。そして一発で合格しました。 自慢でもなんでもないのです。これこそが検定試験の本来あるべき姿なはずです。しっかりと英語を話せるのであればわざわざテスト点数の威を借りる必要などない。「話せる」という自負があるのだから。

以前こんなお話をしました。更にはこんなお話も。英語は道具なんです。ご自身でお持ちの道具がどれくらい素晴らしいものかを他の方に誇示するのはその道具の存在意義を消滅させてしまうことにほかなりません。道具自慢は気分が良い、という気持ちがわからなくもないですが。ですからテスト点数・資格の影に隠れるのではなくまずはあなたという人間が英語を使って何を出来るのかを考えてみてはいかがですか?身ぐるみ引き剥がされるようで良い気分はしないかもしれませんが何の役にも立たない衣服を身に着けて歩きまわり周りからは「あの人何もわかってないね」と囁かれるよりはよっぽど良いのでは?

專欄文章僅代表作者個人觀點,不代表咖啡滔客的立場。

回應 (26)

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  • Rintaro

    Tohko先生 コメントいただきありがとうございます。企業にて職務経験のある方々の体験談はそういったものがまるで皆無な僕には非常に参考になります。Tohko先生が書かれた記事、拝見させていただきます。ありがとうございました。

  • とうこ

    Rintaro先生、いつも楽しくコラム拝見しています。今回のコラムのコメント欄を見て、少し自分の経験と異なるところがありましたので「英語資格は企業で重視されるのか?」を書くことにしました^^

  • Rintaro

    Tinaさん コメントいただきありがとうございます。そうですね、僕はそういった方が一番頼もしいと懐います。「~が揃っていないから・・・」ではなく「~はあるからとりあえずやります」、といった感じでしょうか。お料理の例え話も僕はよく引き合いに出しますが、「包丁が完璧に研げていない」からといって研ぎをずっとしていても肝心の料理は出来ないですよね。僕は英語も同様だと考えています。星の王子さまのフランス語での一節、格好良いですね。ただフランス語が話せない僕はググりました・・・。ではまた!

  • TF

    Joe McNallyさんのお言葉はまさにLe Petit Princeですね。Les grands personnes ne comprennent rien du tout!

  • TF

    Rintaro先生こんにちは! ほんとほんと「英語は道具」ですよね~。わたしもバキバキなカタカナ英語で何千万の商談をバンバン決めていくおじさま方を何人か目撃して、感服することがありました。そういう人って大体強引で野心家で話が大きくて社交的で、そして必ずどんな人でもつい笑っちゃうようなギャグをいくつか持ってるんですよね。「マイ・ネーム・イズ・スズキ、ノット・トヨタ!」とかね。あとやっぱりガタガタの英語なのにNYで中華料理屋20年来やってバンバン繁盛させてる中国人とか…。そのたくましさ尊敬しちゃうな~。

  • Rintaro

    Iku-miさん いつも読んでいただきありがとうございます。僕は日本で会社勤めをしたことがないため、皆さんが指摘されている「受け入れ側にそういった容易ができていない」という点には全く気づきませんでした。自分のブログで読者の皆さんに色々教えていただいている気分です。Iku-miさんが書かれていることでは「机の前で学習したことよりも・・・」の部分が僕としては個人的に大変気に入っています。これからも英会話学習がきっかけになり見聞を広めることが出来ると良いですね。

  • Iku0816

    今回も興味深いコラムありがとうございます!資格を取る事だけが目的や大きなゴールになってしまうのは勿体ないなと思います。ただそれは他の方が書かれているように、企業などがその人の英語レベルを資格だけで判断することも原因の一つかなと思います。そのせいか色々ある英会話レッスン中でも資格取得の為のものが多く感じますし。しかし先生がおっしゃるようにあくまでも言語は会話のツールであり、そこからそれを使って何をするかが大切だと思います。資格に頼ったまま習得した言語も使わない、または使えないままでは意味がないので。 私が今になって自分の英語力が上がったなと感じるのは、机の前で学習したことよりも実践で身につけたことが大きく、できなかった悔しさ、出来た時の嬉しさが次へ繋がっています。 賛否両論あるかもしれませんが、これが多くの生徒さんの気づきのきっかけになるのかなと思いました。

  • Rintaro

    Masumi先生 コメントいただきありがとうございます。僕は「手段が目的になるべきではない」と考えているのですがMasumi先生がおっしゃるのはそれと似ている気がします。「いつもやっていな人は・・・」というのも共感できます(特に英会話講師として)。人によってはこういった試験がモチベーションになる、という方もいるようですからそういった方の努力は認めてあげないといけないですね。ありがとうございました。

  • Masumi sensei

    私も同じように思います! 検定系はあくまでも目安にすぎないのに、それを取るために頑張るのはいいとしても必死にやる必要はないんじゃないの??と思う事が多々あります。 自分が学生の時もテストの時に頑張らなきゃ!という親に対してうちの友達は「いつもやってない人はできないよ。直前にあがいたって同じだよ!」と言われて毎日頑張るようになりました(笑)ちなみにその友達は「だからやらないの!!」派でした(笑) 毎日とか決まった時間やっていれば付いてくるものも付いてくるというものですよね^^

  • Rintaro

    しれませんね。コメントが文字数超えたようです・・・。こちらのコメント機能はもうちょっと豊富にしてもらいたいですね~。Yuko1さん、ありがとうございました。

  • Rintaro

    Yuko1さん コメントありがとうございます。Yukoさんのような意見も「また然り」といったことなんでしょうね。何かしらの資格・肩書があることでお仕事での機会が広がるのであればそれはしっかりとした目的が既にある、ということでもありますね。ただ一方で資格・点数取得をすればそこで夢が叶う、それこそがゴールである、と考えていらっしゃる方が多いことに僕は憂慮を感じられずにはいられません。僕の大好きなPhotographer、Joe McNallyがこんなことを言っていました。 “A professor I had in college used to tell me that if someone won’t listen to what you have to say because you’re not wearing a tie, then put on a tie, ’cause what you have to say is more important than not wearing a tie. He was right.” Yukoさんの仰ることはこういったことなのかも

  • yuko1

    現状、資格があると、仕事のチャンスや幅が広がるのは確かだと思います。私は英語資格のおかげで、未経験ながら翻訳業務や通訳業務を任され、海外出張もしました。先生のおっしゃる通り、資格を取った後、英語をどのように運用していくかだと思いますが、資格が無い事でチャンスさえ貰えない人がたくさんいるように思います。実力があってもアピールする場がないというのは非常に勿体無いです。仮にTOEIC高得点で海外出張し、挫折を味わったとしても、そこで自分の弱点や出来ない事が分かれば、今後の英語学習にも役立つでしょうし、挫折も悪くないかもしれません。

  • Rintaro

    Youchan、いえこちらこそ読んでいただき光栄です!コメントまで書いていただきありがとうございます。

  • SeNana

    Rintaroさん、よくぞ書いて下さいました!全く同意見です!なんだかスッキリ!!コラム投稿ありがとうございました(*^▽^*)

  • Rintaro

    Yokoさん なんと高価なバッグとは!僕が1級取った時は試験費用しかもらえなかったというのに!笑 「気負わず、好きな分野の・・・」がポイントですね!何も英語で全てを網羅する必要はないわけです。ご自身が話す必要がある、もしくは興味がある、と思われたことだけ他の方と会話出来るだけでも十分ではないでしょうか。僕はTeam PlayerではないのでつくづくSelf-Employedで良かったなぁ、と思う今日このごろです。コメントありがとうございました!

  • Yoko

    先生のご意見に概ね賛同いたします。 私も大昔(?)は会社員でした。アメリカのコンピューター会社に数年勤務し、英語力は必要とされたので試しに英検1級を受け、幸運にも(多分、ぎりぎりだと想像しますが)受かりました。私よりも周りが大騒ぎし上司は表彰ものだとか云って人事部にまで連絡し、ご褒美に高価なバッグか何か頂きました。でも、英検1級を今、私が受けてもまず受からないと思います。理由はその受験に特化した勉強をしていないし、若いころと違って時間内に点数を出来るだけ獲得する敏捷さ、集中力が続きません。TOEICも違うレベルの試験ですが、集中力はめちゃ必要です。どちらの試験でも若い時のような点数は取れないでしょうが、不思議と、会話能力では、今の方が自信があります。(笑)それは、私が半分引退したおばさんで、気負わず、好きな分野の英語だけを追求できているからです。若い頃はこうはいきませんでした。会社組織にいて、ある程度、昇進意欲が内にあると矛盾を感じながらも点数主義になります。これは、英語だけに限りません。人間の優秀性をみる試験は本当に難しいし、組織は簡単な指針を使うのでしょうね。。。

  • Rintaro

    Sachiraさん お久しぶりです。コメント、ありがとうございます。そうです、まさにSachiraさんのような方が必要だと僕は考えます。資格・テスト点数などなくとも「英語を使って仕事をしています」という事実ですね。実践で役に立てばそれ以上何も必要ないとさえ僕は思います。これからもぜひ活躍してください!

  • Rintaro

    Mayuchan そうですね、学習を楽しい、と思える方はそれが何であれ伸びる可能性があると僕は考えています。ただその学習目的が何なのか、それもしっかりされるとより良いのではないかと思います。コメント、ありがとうございました。

  • Rintaro

    Lisa先生、コメント頂きありがとうございます。「継続ご受講くださっている方々が それぞれの分野で英語を道具として使いながら確実にキャリアを積み上げていらっしゃること」→これにつきますね!NoiNoiさんが仰っていますが資格取得してからが肝心、つまりそれを使って何が出来るのかが把握できていなければ結局何も役に立たない、という状況に陥ってしまうでしょう。重ねましてコメント、ありがとうございました。

  • Sachira

    いつも拝読しています。今回の記事も興味深いですね。TOEICを一度は力試しのため受験しましたが最後は時間が足らなくて全部回答が出来なかった始末。以来、資格試験には全く興味を示さなくなりました。それでも先日仕事中に外国人から電話が入り、誰も英語が出来ないため困っていたところ、私が対応することに・・。もちろん間違えだらけの英語ですが会話は成立し相手の質問には全部答えることが出来ました。実践で役に立つとはうれしい話です。Rintaro先生の記事を読んでいると思い切り英語で話したくなりますね。

  • Mayuchan

    ふ~んそうなんだ。なにはともあれ、学ぶことは楽しいですよね!

  • Lisa.K

    全く同感でございます。ですから私はただの「過去の栄光」でしかない資格につきましては一切記載しておりませんし 取り立てて申し上げるつもりもございません。 今 このカフェトークでご受講生の方々の為に何ができるのか だけを考えて仕事に取り組んでおります。 私の自慢は 継続ご受講くださっている方々が それぞれの分野で英語を道具として使いながら確実にキャリアを積み上げていらっしゃること でございます。 みなさま 素晴らしい方ばかりで私は幸せ者でございます。 確かに資格は就職或いは転職の際に必要になりますので その方に必要な資格試験の受験はお勧めはいたしますし またそれを受けることにより語彙が増えてゆく という利点もございます。ただしその資格に見合う仕事が出来なければ 降格或いは部署を変えられる そして最悪解雇 というのが今の日本の現状でございます。 そこのところをご受講生の方々にお分かりいただければ と思いつつお教えしております。

  • Rintaro

    Noinoiさん(危うく本名を・・・) ありがとうございます。「点は取れても実践できない。」これですね~。何かそれを横から「おかしくない?」と言う人がいても良いのではないかと思い今回のブログを書きました。何も変わらないとは思いますが。 受け入れ側に判定する力が備わっていない、というのも悲しいです。これはつまり「英語がどれだけ便利な道具」なのかを雇用側も認識していないためでしょう。 着付けのお話はそのまま英会話に通じるところがありますね。毎日着ていればレッスンなど受ける必要が無いわけですから! 貴重なご意見ありがとうございました!

  • noinoi

    基本、考え方は先生に賛同します。英語だけでなく、この考え方は他にも通じるところだと思いますよ・・・ただ残念ながら会社や受け入れ側に判定・評価、採用するだけの能力はなく、一つの評価・採用指針として資格が用いられているんだと思います。なので資格チャレンジは全く無駄ではないと思いますね。これは日本人の良いところでもあり悪いところでもありますが、勤勉・実直、基本に忠実。これでは先生のおっしゃる通り、点は取れても実践できない。(テキストに書いてある通りでしか会話出来ない。会話のキャッチボールなんてむりっっ!!)個人的にはBATIC(英文会計)を取得しましたが、普段仕事で使っていないので勘定科目さえ、すっかり抜けています。着物の着付けもそうですが、昔の人は毎日普段着で着物を着ているからわざわざ着付け教室に通わなくても着物を自分で着られたわけで・・・何の資格でも取得した後が肝心なのではないでしょうか?

  • Rintaro

    Mayuchan です!お読みいただきありがとうございます。

  • Mayuchan

    なるほどね~

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