パン屋のりゅうさん
Feb 18, 2020
皆さま、こんばんは。
恐ろしいことに2020年始まって最初のコラムです。
本日もレッスンが無事終わってホッと一息。
ふと思い出した話を一つ。
うちの近くにはいくつかパン屋さんがあるのですが、そこのスタッフに「りゅうさん」という方がいます。
てきぱき動いて、にこにこ笑顔が魅力的なりゅうさん。
日本語も流暢ですが、話し方からおそらく中国の方だと思われます。
つい最近、帰りが遅くなってスーパーに寄るのも面倒だと思い、そのパン屋さんに行きました。
お店も閉店間際。いくつか値下がりしている商品を品定めしているお客さんに交じって、私もお目当てのパンをいくつかトレーに乗せてレジへ。
二つあるレジの右側。レジを担当してくれるのはりゅうさんです。
以前、焼き立てを買ってとってもおいしかったパンがあったので、今回は焼き立てではないけれど同じものを買いました。そのパンを詰めながら、
りゅうさん「このパン、食べたことあるか?おいしいよ!」
わたし 「そうですね。前に一度」
りゅうさん「この店、よく来るか?」
わたし 「ええ、何度か」
りゅうさん「そうか!この袋、使うか?」
わたし 「じゃ、お願いします」
仕事柄、「日本語」というものに敏感になってしまう私はついついりゅうさんの日本語が気になってしまいます。けれど、りゅうさんの人柄なのか、この感じが楽しくて何か会話を続けたいと思い、「このパン、焼き立てが並ぶのは何時ごろですか?」と聞いてみました。
そしたら、それまでテキパキと動いていたりゅうさんがピタッと止まってしまいました。そして、隣のレジを打っているスタッフがレジを終えたのを見て、がっと腕をつかみ「ね!○○ちゃん、このパンの焼き立てはいつ?このお客さんが知りたいって!あなた朝から入ってるから知ってるでしょ」と勢いよく聞いていました。
その勢いにスタッフもびっくり、でも慣れているのか丁寧に教えてくれました。
そこで終わり、と思いきや、「じゃ、このレジ続きやってあげて。商品券あるから」とりゅうさん。
会計時、商品券を出していた私の手元を見て、もしかしたらその入力の仕方がわからなかったのかもしれません。うまいことスタッフに押し付けて、りゅうさんはささっとカウンターから売り場に出ていきました。
帰り際、りゅうさんに一礼すると
「また来てな!ありがとーございましたっ!」
という元気な声が返ってきたのでした。
普段、ビジネス日本語やら入社前研修やらで「敬語、大事ですよ!」と生徒さんたちに言っている私ですが、りゅうさんのコミュニケーション能力の高さにはほのぼのとさせられてしまうのでした。日本語を使ってお仕事をしている方、これから日本語を使ってお仕事を始めようとしている方、ちょっと安心しませんか?職種によるのかもしれませんが、敬語より大事なものもあるのだなあと思った日でした。
それでは、また!
may
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