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Tutor Sachiko 's Column

ロンドン生活こぼれ話 その⑯ ルームメイト?フラットメイト?イギリスの賃貸事情

Nov 19, 2012 | 4 Comments

 今日ふと、日本でも最近ルームシェアが流行ってきているが、男女でのルームシェアは許されるか?といった記事を読んでいて「いやいや、イギリスで男女のルームシェアはカップルじゃない限りあり得ないでしょ」と、意味は分かっているものの、どうしても違和感があって突っ込みたくなってしまいました。

 アメリカではアパートで共同生活する事を「ルームシェア」と言う事から日本でもこの「ルームシェア」「ルームメイト」という言葉が使われていますが、イギリスでは言葉の意味の通り、「ルームシェア」は同じ部屋をシェアする事を指します。つまり、寝室が一緒と言う事です。

 つまり、アメリカでは寝室は自分一人のもので、キッチンや浴室を他の人と共同で使う事を「ルームシェア」と言うらしいのですが、イギリスではその場合は「フラットシェア」と言います。ただ、このフラット「flat」が、日本やアメリカで言うアパート「apartment」の事を指すイギリス英語の為、アメリカでは「フラットシェア」や「フラットメイト」といった言葉は使われず、「ルームシェア」「ルームメイト」(もしくはシェアメイト)等といった言葉が使われるそうです。

 ただ、イギリスに長年住んでる私の感覚で「ルームシェア」と聞くと、どうしても「ルームシェアなら部屋をシェアするって意味なのに、変なの」と思ってしまいます。

 ところでなぜ、ロンドンではフラットシェアをする人が多いのかと言うと、ロンドンの高額な家賃のせいでもあります。今現在は円高の為、家賃を円に換算してもそこまで高く感じないかもしれませんが、それでも日本で言うワンルームアパート等に住むとすると、場所にもよりますが、比較的安全で中心部から遠すぎない場所ですと、安くても月900ポンド(約11万強)ほどかかります。

 先程も述べたように今では円高なのでそこまで高くなく思えるかもしれませんが、これが1LDKとなってくると、もっと値段が跳ね上がります。ですので、学生等の若い子達はフラットシェアをする事が多いです。

 

 さて、日本では1K、1LDK等といった言い方が使われますが、イギリスでもその物件のタイプによって色々な言い方があります。

 日本で言うワンルーム(1Kと言うのでしょうか)の様に、一部屋にキッチン、浴室等が付いているものはStudio Flatと言います。ただ、Studio Flatの場合は大抵浴槽はなく、シャワールームだけの場合が多いです。

 そして1LDKの様に、寝室の他にリビングルームとしてもう一部屋あり、キッチン、浴室が付いているものは1 Bedroom Flatと呼びます。その寝室の数が増えると2 Bedroom Flat、3 Bedroom Flat等と言う風に、呼び名も変わってきます。

 また、Flatは日本で言うアパートの事なので、もちろんこれが一軒家の場合にはその寝室数によって 2 Bedroom House、3 Bedroom House等と言います。

 またイギリスでは賃貸ですと、家具がもともと付いている所が多いので、引越しの度にタンスや冷蔵庫、テーブルを業者に頼んで大掛かりにしなくて良いので便利です。ですのでロンドンでシェア生活をしている人達は引越しをする回数がとても多いです。現に私も結婚して今のフラットに住むまでに、7年間で5回も引越しをしました。

 なぜそんなに引越しをするのかと言うと、共同生活ですとやはり色々な問題が出てきたりするからです。

 私がロンドンに来て最初に住んだのは「Bedsit」と呼ばれる、一部屋にキッチンが付いていて、トイレと浴室を共同で使うタイプの所でした。ただ、洗濯機が無かったので近くのコインランドリーに毎回行かなければいけなかった事と、浴室が夜11時半以降は使えないという決まりがあった為、不便を感じて別の所に引越しました。

 次に住んだのは大家さん夫婦の住んでいる一軒家を大家さんと他のハウスメイトとシェアするという形で、ハウスメイトも日本人の良い人達で気に入っていたのですが、お風呂好きの日本人同士のシェアに浴室が一つ。当時レストランでの仕事を終え夜中に帰ると他のハウスメイトがお風呂に入っている為、すぐにお風呂に入って寝たいのに30分以上待たなければいけない事もしばしばありました。

 それもあって「どこか他に良い所無いかな・・・」と思って探していた時に家賃の安い所を見付けて引越しました。しかしそこは大外れ。一人の女性の大家さんとのシェアだったのですが、この大家さんがとても難しい人で、「出掛ける時は主電源を全部切る。洗濯機を使って良いのは電気代の安い夜10時以降。ただ0時前には終える事。使って良いのは週に一回。」等、他にも数え切れないルールを言われました。

 でも、大家さんが言うのなら・・・と思って守る様にしていましたが、私の居ない時に勝手に部屋に入って来て主電源が切られているかチェックされたり、他にも少しでも意に沿えない事があれば30分以上ずっとそれについて話をされるなど、とにかく大変でした。

 さすがにそこは三カ月経った時に「こんな窮屈な生活は無理」と思い、そこからすぐ傍の所に引っ越ししました。そこは女の大家さんと他二人のフラットメイトとのシェア。おおらかでとても優しい大家さんで一年程暮らしていたのですが、大家さんが職を失いそのフラットを売る事になり、出て行かなければならない事に。そして次に住む所を見付けて引越しました。

 ただこの優しい大家さんと住んでいたフラットなのですが、カウンシルフラットの中の一戸を大家さんが買い取って住んでいた所だったので、周りの人々の環境はあまり良い物ではありませんでした。

 カウンシルフラットとは、イギリスの公営住宅団地の事で、仕事の無い人や母子家庭の人などが優先的に住めます。見た目は日本で言うマンションの様な高層の建物が多いです。1980年代にはこのカウンシルフラットに住んでいる人はその物件を買う事が出来るという制度が確立され、カウンシルフラットの中の一戸を買う人がたくさん出ました。

 ただ、その為現在カウンシルフラットの中に個人で所有する物件と、カウンシルが管理する物件とが存在する為、カウンシルに申請して住居提供された低所得者の人等が周りに住んでいる為治安はあまり良くない所が多いです。

 現にその大家さんのフラットの隣に住んでいた人が、「妹が住む所を探しているからあなたの所の空いている一室を貸してくれないか」と聞いて来て一室を貸す事になったのですが、とても気性の荒い子で困り果てた大家さんが出て行ってくれないか話をしました。けれど頭に来たその子は、嫌がらせに生魚を細かく切ったものをカーペットの下や傘立ての中に入れて出て行ったらしく、数ヵ月後に大家さんがフラットを売る為に大掃除をしていたらそれを発見したという、衝撃的な事もありました。

 今では現在の家に落ち着いた私ですが、それでも建物がとても古いイギリス。上の階の人の足音や話し声は普通に聞こえてきますし、最近は隣に引っ越してきた人が朝からHip Hop調の曲を大音量でかけていて悩まされる事もよくあります。

 けれど日本の実家は実家で、踏切の目の前に建っているので常に踏切の音が聞こえてきます。ですので、静かな所に住むのは日本でもイギリスでも難しさは変わらないかもしれないですね。

 

This column was published by the author in their personal capacity.
The opinions expressed in this column are the author's own and do not reflect the view of Cafetalk.

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