Let the world spice up your life.

Cafetalk Tutor's Column

Tutor Micky 's Column

初めて買ったCDは何ですか?

Jun 10, 2014 | 4 Comments

初めまして。Cafetalkに新設された声楽レッスン担当のMickyです。

皆さんが初めて買ったCDって何だったでしょうか?私の世代ですと、槇原敬之「どんなときも。」やZARD「負けないで」が初CDだったという友達が多いです。そんな私も親に隠れて初めて自分で買ったCDは今や若い人は知らない(笑)、8cmシングルCDの「負けないで」でした。

でも、本当の初CDは5歳の時に買ってもらった、この動画にあるグレン・グールドバッハ『平均律クラヴィーア曲集』でした。当時はこのCDばかりを聞いていたので、私の中でグレン・グールドのバッハの解釈が私の中でいつの間にかスタンダートになってしまうほどでした。それほど幼児の心を惹きつけた音楽だったに違いありません。

だけど、大学のピアノレッスンで平均律を弾いた時、「グレン・グールドは確かこう弾いてたんですけど…」とピアノの先生にチョロっと言ったら、「グレン・グールドはスタンダードじゃないから、真似するんじゃない!!」とすごく怒られてしまいました(^_^;) 恥ずかしながら、それまでグレン・グールドがそういうスタンスのピアニストだとは知らなかったのですが、楽譜にない声部を足して弾いたり、楽譜に書いてあるテンポや強弱をだいぶ変更しているらしいのです。なるほど。

私がこの時を境に、いつも考えているのは「スタンダードな音楽って何だろう?」ってことです。

声楽家にしろ、ピアニストにしろ、私たちは時にartistと呼ばれますが、画家や作曲家、作家といったartistと根本的に違うところは、私たちは過去の作曲家が作ったものを音にしているのであって、勝手に自分で音を作り上げていい訳ではないというところでしょう。

作曲家をrespectして、楽譜に書いてあることに忠実に、時代様式をきっちり守って・・・でも自分の色がない演奏はお客さんに魅力を感じて聞いてもらえないし。。。結構、窮屈なんです(苦笑) メロディーに感情を込めるのではなくて、逆に、溢れてしまう感情を、どうにかこうにか引き算しながら演奏しないと、音楽として成り立ちませんし、演奏する方も聞く方も疲れてしまって最後まで持ちません。かと言って、当然ながら楽譜に忠実なだけの保守的な演奏は聞くに値しません。

こんな感じで、私はいつもバランスが取れるポイントを練習で探りながら曲を仕上げて、そして演奏会に乗せます。つまり、作曲家の意向と自分の音楽感、「そのギリギリの線を攻める!」みたいな感じです^^;

グレン・グールドの音楽は、確かにちょっと行き過ぎてはいたのでしょうが、それでも、「演奏する価値のある音楽とはどういうものなのか」を私に常に問いかけてきてくれます。

This column was published by the author in their personal capacity.
The opinions expressed in this column are the author's own and do not reflect the view of Cafetalk.

Got a question? Click to Chat