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Cafetalk Tutor's Column

Fukumaru 講師のコラム

春はあけぼの~音読で深める日本文化♪

2024年3月28日

こんにちは! 今日は、日本語の音読レッスンについて書きます。

春の読書週間キャンペーンに参加している『ちびまる子ちゃんの音読暗誦教室』のレッスンをぜひ受講してみてくださいね、というおさそいの記事でもあります。
ですが、音読のレッスン方法や効果について、いろいろ疑問もあるかと思いますので、今回は、日頃、私が考えていることを書いてみます。


☆さて、問題です。
皆さんは、「あけぼの」と聞くと何を連想しますか?
「春眠(しゅんみん)」「つれづれ」「蝉(せみ)の声」はいかがでしょう?


日本語で義務教育を受けた方だと、『徒然草(つれづれぐさ)』『春暁(しゅんぎょう)』『枕草子(まくらのそうし)』『奥の細道(おくのほそみち)』という随筆や詩の一節を連想するのではないでしょうか。詳しくは下に書きますね。


『ちびまる子ちゃんの音読暗誦教室』には出てくる日本語は、このように、日常会話や日本語試験では出てこないけれど、子どもが学校で習って覚える文章が収録されています。

日本の学校教育では、いろいろな文章を覚えて声に出してとなえる「暗誦(あんしょう)」の宿題があります。授業中にも、みんなで声をそろえて文章を読みます。

ですので、『枕草子』や『徒然草』の最初などは、なんとなく頭の片隅(かたすみ)にのこっていて、大人になって、ふと連想(れんそう)することがあるわけです。

それに、子どもの頃に覚えた文章は、大人になって記憶力がおとろえても、意外に覚えていることがあって、おもしろいです♪


このような文章が頭に入っていると、春は明け方が良いと感じた平安女性の気持ちを、ふと連想するときがあるかもしれません。あるいは、真夏に、降るような蝉の声を耳にして、松尾芭蕉(まつおばしょう)の蝉の俳句を連想する方もいるでしょう。
目の前のできごとに深みが少しプラスされます♪


ということで、音読のレッスンは、日本語経験によって2種類を考えています。

1)日本語学習中の方
日本語学習中の方には短い文、あるいは、長い文章の最初をご紹介して、一緒に読んでみたいと考えています。

レッスンでは、スラスラ言えなくてもOKです。すこしでも言えるようになると、それが心にのこり、何かの機会にふと思い出す、ということが起こるでしょう。

言いたいことを伝えるだけでなく、そこから豊かに連想して世界を広げていって、日本語学習を楽しんでいただければと思います。

2)日本語で教育を受けた方
日本語で育った方は、長めの文章を一緒に読んだり、お互いに読んだりしましょう。解説も読むと、理解が深まります。

私は最近、「寿限無」を読んでみましたが、口の体操にもなり、結構、集中力が必要なので、やってみると楽しかったです。『枕草子』や『徒然草』、『方丈記』なども、間違えずに読もう、きちんと読もうとすると、語感を楽しみ、記憶にも残ります。


どちらもリラックスしたレッスンですので、息抜きに、あるいはお楽しみに参加していただければ幸いです♪


<質問のこたえ>
・あけぼの:「春はあけぼの。ようよう白くなり行く山ぎわ…」←『枕草子(まくらのそうし)』の最初
・春眠(しゅんみん):「春眠 暁(あかつき)を覚(おぼ)えず…」←『春暁(しゅんぎょう)』中国の漢詩の日本語版
・つれづれ:「つれづれなるままに 日くらし、すずりに向かいて…」←『徒然草(つれづれぐさ)』の最初
・蝉(せみ)の声(こえ):「しずかさや 岩(いわ)にしみいる 蝉の声」←『奥の細道』の俳句

本コラムは、講師個人の立場で掲載されたものです。
コラムに記載されている意見は、講師個人のものであり、カフェトークを代表する見解ではありません。

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