翌年、殆どの生徒が浪人した。
よく考えると受験生に激落ちくんなんて縁起が悪過ぎた。
私は退職して塾関係者じゃなくなったとはいえ、
私は退職して塾関係者じゃなくなったとはいえ、
流石に申し訳なくなって浪人生激励の旅に出掛けた。
盛岡・仙台・東京。
合計10人にやる気が出る本を渡し、
ラーメンを奢り、頑張れよと激励した。
その後もLINEで相談にのり化学を教えた。
生徒は気にしていないようだったが
そうすることによって罪滅ぼしができたと信じたい。
先日、私が辞めた塾に勤めている先生が、
誰かからその激励旅行を聞いて物凄く感激していた。
トミヤマ先生は激落ちくんの件は知らなかったので、
浪人生を応援しに行った素晴らしい先生という評価になったのだろう。
照れくさかったし、何より私はそこまで人格者ではない。
ただの罪滅ぼしの自己満足なのだ。
トミヤマ先生は言った。
「ケイスケ先生のような良い先生ほど塾からいなくなんですよ。
辞めたときに挨拶ができなくて寂しかったよ」
私は反応に困ったが、半分本当のことを言った。
「そうでなんですね。
私もトミヤマ先生と挨拶ができなかったのは心残りでした」
トミヤマ先生は私に喫茶店のクーポンを8枚渡して去っていった。
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