スペイン語(?)への道⑥ 大学3年目 つらさを伴う振り返り・・それでも自分がどう感じているか言語化すること。

Rio.Y

ついに、大学生活も後半。
「通常の」大学であれば就職活動をし始める時期だったろうか。
中には「留学行くの!すごいね^^」と言う同期の人もいたが、私の大学では多くの学生が交換留学等何らかの方法で海外渡航するというのが定番だった。
(3年生から行くというのはおそらく、2年までの専攻語の授業が通年で履修しないといけないものだったからだろう。)
今回は大学3年時に過ごした日々について(スペイン語のことも少し書きつつ・・)述べていきたい。

 留学前の時期、「まじめな」学生は留学先の情報収集などを真剣に行うのだろう。
私はなぜかそういう気になれず、というか、私は何だか前を向く姿勢をどこか欠いていた。
当時はまだ自分自身の特性に関して、特に自覚がなく、また1年近くの長い留学は初めての経験。
ただすべきだと感じたこと・必ずしないといけないことなどをやっていたと思う。
とはいうものの、3年から始まったゼミではかなり真面目に課題に取り組んでいた。

それから留学に関しては学生個人に任されているようなところがあり、
みんな特にあまり深く考えずに行っているような感じを受けていた。
そうしているうちに、ビザを取ることなどを急いでやった時期があった。
今思えば様々な面で家族にお世話になりながら留学にも行かせてもらった。

 ポルトガルの大学は9月から始まるため、前期の授業を履修し、夏休みの8月いっぱいは音楽フェスに行ったり、帰省したり、楽しんでいた。(スペイン語検定も取ったし、フランス語も独学していたな笑)
しかし何か達観していたというか、初めての海外生活わくわく・・というところはあったが、
極めて冷静に?語学をマスターしに行くぞ!というような気持ちもあったかもしれない。

 9月初旬に留学先に向かった。
同期の人たちもそれぞれ、渡航報告をSNSにあげていた。
私もここでは詳細は記載しないが、ちょっとした問題に直面しながらも、無事滞在先に到着した。

 ポルトガルについてまず少々意外だったのが、
多くの人が英語を話すということだ。
それに関しては留学前に旅行した際に気づいていたかもしれない。
学生等若者は英語を話す人が多い印象だが、年配の方など「フランス語だったら分かるけど」という人もいた。

 それ以外にも、新たに生活を始めた国について色々な感想を持ったように思うが、
特筆すべきは私が様々な不安を感じていたということだ。
今でこそ、第三者・専門家とのかかわりも通して、自分のもつ性質について少しずつ理解してきていると思う。
しかし当時は、「ああまたあの状態に陥っている」としか感じられなかった。
人と笑いあったり話したりして仲良くなることに恐怖心を抱いていた。

 私は留学も含め4年で大学卒業するという目標に向かって、
たくさんの単位を取り、無理しながらも努力した2年半の反動が来たのだろうか。
「何もしたくない」という感覚にさえ陥った。
それでも、現地でかかわってくれた人たちには今も感謝している。

 ときどき、一緒にカフェに行ってくれた人がいたり、授業のことを話したり・・。
とりわけポルトガル語コースの同じクラスの人たちのことは今も覚えている。

 スペイン語に関しては日本の大学3年生の終わりごろから、ポルトガルの大学の後期が始まったため、
そこから半年間スペイン人の先生の授業を受けていた。
留学についてたくさん後悔することなどがあったりはしたが、今思えば、ポルトガル語・スペイン語をポルトガルで学んだ経験が今の自分に影響を与えていると思う。
(学習の方法に関して、やり方が変わったことを一時はネガティブにとらえていたが、
今ではこれが自分のやり方!とポジティブな思いに変わっている。)

 やはり、あまりまとまりのないコラムとなったかもしれないが・・タイトルにある通り、
この記事を書くのにしばらく時間がかかったのは、この振り返る過程が私にとってつらいものであったからだ。
しかし、それでも書いてみようと思えたのは、必要な場面で気持ちを言語化することが大切だと、ある映像作品に触れて思ったからである。(できるだけネタバレしないように、ぼかした感じで書いてみる。)
 その作品中、とても強く印象に残ったシーンがある。
ある職業訓練に携わる「先生」がクライマックスで、成績優秀だがどこか斜に構えていて、なぜその職に就きたいのか見せない生徒を感情を揺さぶる形で問い詰めたのだ。(舞台が特殊な環境の訓練校で厳しい教官という設定なので、実際に学校等でそのような場面に出くわすことはまあないと思うが・・。)
その生徒は自分の家族に降りかかったつらい過去を振り返りながら、最後は涙ながらに答えた。
「苦しむ人を助けるために、この職業に就きたい」

 役者の演技で心を動かされ、私は自分の仕事についても考える時間を取った。
タイプは違うかもしれないが、私自身、自分の感情を言語化して表に出すことが苦手だと思うし、
それについて今の時点で考えることが大切だと感じたからだ。
 なぜこの仕事(語学を教えること)をしているのか。
もともと外国語を勉強することが好きだった。人に何か伝えるために、喜ばせるために言語を使いたいと思ったこともある。(新聞記者、エンタメ系の翻訳者など?) 
 学生時代からアルバイトを含めいろいろな職種・業種を経験したが、常に語学のことが念頭にあり、それらの多くは学んだ言語を使用するものだった。
つい半年前までも語学を活かした他の業務にも携わっていたが、今は思う。
 私は前出の作品に影響されていたり・・結局は自分が嫌な体験を含め人生の中での経験をどう昇華していくか、ということだったりもするのかもしれないが、
自分のような人でも・・さまざまなタイプの人が言語を習得する手伝いが出来ればと。

 人によっては勉強する時間を取ることが難しかったり、四六時中机に向かうことが苦手であったり・・
いろんなケースがあることだろう。
集団に教えることではできない、一人一人に合わせた指導がプライベートレッスンでは可能である。
自分に酔った言動は慎みたいため、これ以上の言及は控えるがおおむねそのような気持ちをもって最近は過ごしている。

 一つ言えることは、私は今でもパーティーで(どんな言語でも)人と話すことよりも、たいていの場合、
部屋で音楽を聴いたり、映画を観たりすることの方が好きだということだ。
(そういう人間でも、語学検定を取ったり、語学を仕事につなげたり、ということはできていますよ!ということは言っておきたい。)

 最後にここに掲載した写真は私が卒業論文のテーマとしたポルトガルの装飾タイル、アズレージョのイメージである。
 当時を振り返ることは容易ではなかったが、ここに記すことでまた一つ次の段階に進みたいと思う。
このコラムも、私自身も。
This column was published by the author in their personal capacity.
The opinions expressed in this column are the author's own and do not reflect the view of Cafetalk.

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