卒業式の思い出: YutaTanakaSound

Weekly Topic: Memories of my graduation ceremony

YTS

私は35歳で卒業式に出るという経験をすることが出来ました。それはアメリカで音楽の修士課程を修了した際のものですが、成人してから自分が最も好きなsubjectである音楽で大学にて学べたというのは今から思い返せば非常に貴重な時間でした。大学においては年齢に関係なく学べるというアメリカのアカデミック文化は素晴らしいものだと思います。特に修士課程では年齢が50代や60代のクラスメートがいても全く違和感はありません。

アメリカの卒業式がどんなものなのか興味がある方もおありかもしれませんので、少し話してみようと思います。まずアメリカの大学組織は大きく2つのレベルに分かれていて、上位がUniversityです。そのUniversityの傘下に様々なCollegeがあります。College達は必ずしも同じキャンパスに立地しているとは限りません。例えば私が言ったNew YorkのQueens CollegeというのはCity University of New York(CUNY)の傘下にありますが、そのCUNYにはニューヨーク市内で25か所に分かれてCollegeが存在しています。CUNYの場合は個別のCollegeの独自性があるものの、学部は被っています。例えば音楽学部はQueens CollegeにもBrooklyn CollegeにもCity College(マンハッタンにあるcollege)にもそれぞれ存在しています。それでも学費やacademic calendar(行事のカレンダー)などはCUNYの中のすべてのcollegeで共通となります。

さて卒業式ですが、CUNYの場合はCollege毎にそのキャンパス内で行われます。まず朝イチに各学部毎で集まって卒業式を行い、それが終わってから中央芝生のようなところに集まって全学部合同での卒業式をします。この芝生のところで国家斉唱や例のElgarのPomp and Circumstance(威風堂々)などを演奏するわけですね。
各学部での卒業式では卒業する学年の成績一番だった学生がスピーチをするわけですが、然るべき人たちに感謝の意を表しつつ在学生たちを励ますという内容で流石に上手く寝られたスピーチをしていました。私は成績一番でなかったのでスピーチは免れました。

アメリカの卒業式では良く映画とかで見かけるガウンをみんな着ることになっていますが、実はそれは自分で購入しなければならず、しかも値段が$80位で高かったので私は買いませんでした。さすがに35歳では20代前半の学友たちのように卒業の感動に浸るという感じは無く、「これもひとつのマイルストーン」という感じでした。なので全学部合同の芝生卒業式もパスしてもうしばらく会えないかもと思って、音楽学部に残ってafter partyみたいなところで出来るだけ多くの人と話すようにして過ごしました。

ちなみにアメリカの立食パーティー的な文化はいまだに慣れません。日本で会食となるとだいたい着席で基本席が決まっていて、みんなで会話することが多いと思いますが、アメリカの立食パーティでは出来るだけ多くの人と会話することが普通とされているようで、誰かと話していても別の人が途中で横からいきなり会話に割り込んできて話題を持って行ってしまったり、会話相手が話の途中でいなくなってしまったりします。会話相手が「I'm gonna go grab some drink.」とか「Excuse me, I need to use the bathroom.」とか言って離れるのですが、速攻で他の人と話していて、戻ってくる気配はありません。そういったセリフを使って会話を切りあげて他の人と話しに行くのがエチケットなのだと思います。(I hope so..)

アメリカの大学は入試に大掛かりなテストが無い代わりに卒業までにはコンスタントな努力が必要で、そこから解放されるという意味での特別な解放感が有ったと思います。CafeTalkでは音楽の大学で習えることを、大学に行かなくても少しづつ学べるようにと思ってTutorをさせていただいています。大学には図書館、教授、学問文化などの智が終結しているわけですが、その智は伝えていかなければいづれ忘れ去られてしまいます。音楽の場合は全てを書き表せるわけではないので、なおさらそうだと思うのです。
This column was published by the author in their personal capacity.
The opinions expressed in this column are the author's own and do not reflect the view of Cafetalk.

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